ユーザー可視化事例7

電子顕微鏡によるタイヤゴム中のシリカナノ粒子の3D構造観察実験の結果表示

研究者:萩田克美(防衛大学校), 樋口剛志(東北大学),陣内浩司(東北大学)

研究の概要:
 タイヤゴムやフィルムなどの高分子材料では、配合されたナノ粒子の高次構造が、その機械的物性に大きな影響を与えることが知られている。このナノ粒子は、ぶどうの房状のナノ粒子の1次凝集体が、さらに凝集し、高次の凝集体を形成している。我々の研究では、タイヤゴム中に配合されたナノ粒子の3次元構造を、FIB-SEMを用いて2nmの解像度で観察することに成功した。2017年5月の高分子学会での発表に向け、多くの方々が効果的に認識できる可視化表現法を検討中である。構造の特徴に応じて、部分的にセグメンテーションし色づけした結果を観察するなど、工夫を試行錯誤している。





 実験で観察したタイヤゴム中のシリカナノ粒子の3次元密度場情報について、等値面をAVS/Expressで表示している。Isosurface_segmentモジュールを利用し、各クラスターの表面積に応じて、色づけをした結果である。現在、サイバネットシステム(株)の協力の下、Isosurface_segmentモジュールでの色づけなど、機能の改良を検討している。






 FIB-SEMでの低解像度な観察の説明用イメージ像の検討風景である。FIB-SEMは、FIB(Focused Ion Beam)で試料を、薄く削りつつ、SEM(Scanning Electron Microscope)で、観察している。高分子材料のようなソフトマテリアル材料の場合、薄く削ることが困難であり、SEM観察面(xy面)の解像度に比べ、観察面に垂直な方向(z方向)の解像度は悪くなる。

本シミュレーションの科学的内容については以下の論文および関連記事にまとめられている:
“Super-resolution for asymmetric resolution of FIB-SEM 3D imaging using AI with deep learning”
Katsumi Hagita, Takeshi Higuchi & Hiroshi Jinnai
Scientific Reportsvolume 8, 5877(2018)
doi:10.1038/s41598-018-24330-1

関連記事:
東北大学のプレスリリース「ディープラーニングなどAI技術を活用した超高速の3次元高分解能観察技術の開発に成功」:リンク
日本経済新聞電子版記事:リンク
日刊工業新聞記事:リンク





 本課題とは直接関係ないが、研究紹介用の動画作成などを念頭に、シミュレーション結果のVR表示確認を行った。名古屋大学情報基盤センターのスパコンで、米国NCAC(National Crash Analysis Center)のトヨタカムリの2012計算モデル(約200万要素・節点/平均メッシュ長 8mm)について、LS-DYNAを用いた衝突計算を行った結果である。自動車用部品として、多くの高分子材料が用いられている。高分子材料の物性シミュレーションの研究紹介の導入部での自動車の映像利用は、モチベーションとして有効である。