ユーザー可視化事例8

空力音響シミュレーションと大規模可視化システムを用いた摩擦音発音の可視化

研究者:吉永司(基礎工学研究科)
    野崎一徳(歯学部付属病院)
    和田成生(基礎工学研究科)

 我々のグループでは、これまで摩擦音という子音の発音について、空力音響シミュレーションにより発声メカニズムを調べてきた。また、そのシミュレーション結果について大規模可視化システムを用いて可視化することにより、気流から音源が発生するメカニズム等について議論を行ってきた(ユーザー可視化事例2及び可視化事例3など)。これらの研究成果に関してまとめた論文が国内学会NICOGRAPH2017(http://art-science.org/nicograph/nico2017)に採択された。本事例では、その発表内容について報告する。

 下記の写真は、口腔内の気流の速度分布をベクトル表示した際の様子である。流速の大きさに応じてベクトルの色を変化させることで、口腔内のどの領域で流速が大きくなるかをコントローラにより探索した。





 下記の写真は、気流の渦構造の等値面を可視化した様子である。コントローラを用いて、喉から舌や歯の隙間を通って唇までどのように気流が乱れて渦を形成するのかを可視化した。





 下記の写真は、流速のベクトルと圧力の等値面を同時に可視化した様子である。圧力の等値面の時系列データを動画として再生することにより、唇から遠方に音が伝播していく様子を可視化することができる。また、流速を同時に可視化することにより、どの領域で気流が乱れ、音が発生するのかを探索した。





 上記の可視化では、摩擦音/s/及び/sh/の2種類の発音についてそれぞれ可視化を行うことにより、発音の区別が難しいと言われている/s/と/sh/の発音メカニズムの違いに関して議論を行った。今後は、歯学部附属病院の言語聴覚士に可視化を体感していただき、構音障害のリハビリ等に利用可能か議論を行いたいと考えている。
 以下に、学会発表に用いた、可視化の様子を映した動画を示す。